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地下アイドルが「Zeppの壁」を超えられない理由を考えてみた

あなたは「Zeppの壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?地下アイドル界では言い方は変わるにせよ、同じ意味合いとして度々使用されます。

Zeppを埋めてから成長が鈍化してしまうアイドルグループは多く、アイドル界の課題とされています。なぜZeppは超えられないのか、その理由について考えてみました。

地下アイドルにとっての「Zeppの壁」とは?

地下アイドルと呼ばれるものは、千近くに及びます。それらのグループのほとんどが陽の目を浴びずに終えますが、一部のグループだけが手にすることができる一定のゴール、それが「Zepp」です。一般的には「Zepp Diversity」を指していることが多いです。

Zepp Diversityのキャパシティは、スタンディングで約2,400人が収容可能だそうです。およそ2,000人をも集めたアイドルグループでさえ、それ以上は頭打ちになってるのが現状です。これが「Zeppの壁」と呼ばれる現象です。

そもそもなぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?それには地下アイドル業界の現状について振り返る必要があります。

地下アイドル界の仕組み

地下アイドルでは、アイドルをデビューさせても一定数のファンを獲得するのはそれほど難しくありません。お披露目公演と題してSNSで告知すれば数十人くらいは興味本位で見てくれるものです。いくらアイドルだからとはいえ珍しいことです。なぜなのでしょう?

地下アイドルにすぐファンがつく理由には以下の2つがあります。

  1. 基本は「マス」からファンがつく
  2. 地下アイドルのファンは既に「黒枠」にいる

そもそも多くの人は、新規のグループを知る機会に恵まれていません。アイドルが好きではないという方が、自分から新規のアイドルグループを調べることはありませんし、基本受動的です。

また新規のグループもTwitterでお披露目公演の日程とメンバーのアカウントを公開する程度なので、ほとんどの人の目に触れません。しかしアイドル界ですと少し異なります。

地下アイドル界には既に「アイドル文化のファン」がいる、これが重要なポイントだと思います。単体のアイドルグループが好きなことはもちろん、どのグループも好んで好きなDD(誰でも大好き)と呼ばれる方々が多くいるのです。

彼らは「アイドル文化のファン」であり、アイドルというプロダクトのアーリーアダプターです

イノベーター理論という、新技術や商品の普及における理論がありますが、イノベーターとアーリーアダプタだけで構成されたコミュニティが「現状の地下アイドル界」だと僕は考えています。イノベーターは新しいものにすぐ飛びつく人、興味本位で試せる人です。またアーリーアダプタも具体的なメリットを感じて、試してくれる早い段階での顧客になります。

そして「キャズム」と呼ばれるアーリーアダプタとアーリーマジョリティの間にある溝=顧客獲得における簡単には超えられないハードルがあります。アイドル界における「Zeppの壁」はキャズムであると考えられるのではないでしょうか。

アイドルオタク向けからマス向けマーケティングへ

改めてこの画像を使用すると、地下アイドル界には、いわゆるアイドルというフォーマットで活動するグループに対して、イノベーター・アーリーアダプタの役割であるアイドルオタクがプールされています。

「アイドルがデビューしますよ」と発信することで興味を持つ人たちがそこには沢山いるのです。画像の②に当るところで、その位置におけるマーケティングは「オタクが好むものを提供する」ことです。

つまりアイドル界だけで売れるのであれば、アイドルオタクマーケティングを行うことでZeppに行くか行かないかくらいまでは行けるでしょう。

アイドルオタクマーケティングの例でいえば、

  1. MIX・コールが打ちやすい楽曲を充実させる(ライブファースト)
  2. オタク受けする女の子(かっこいい系より可愛い系)
  3. 特典会レギュレーションがリーズナブル(安価で回転率を上げる)

などがすぐに挙げられるでしょう。

しかしこれらは地下アイドル界におけるコンテキストであり、一般人はチェキ撮影という概念さえ知り得ません。キャズムを超えるとは明らかに顧客が異なってくるというわけです。

実はここまでならアイドル運営同士でノウハウを共有し合ったり、オタク上がりの運営が多いこともあり解決しやすいのですが、それ以上を目指すとなるとノウハウがありません。

すると、徐々に維持方向に変わり、オタクのモチベーションが下がり、ジリ貧になり、という悪循環に陥ったりします。アイドルの難しいところは、停滞はそのグループのストーリー的に好ましくないことが多いということです。

 

でこの記事のまとめですが、地下アイドルが「Zeppの壁」にぶち当たってしまう理由は、地下アイドル界のイノベーターやアーリーアダプタで構成されたコミュニティーの上限に達し、キャズムを超える際にマーケティングシフトに苦戦するのが原因ということです。

またアイドルオタクマーケティングとマス向けマーケティングの違いや、それぞれの特徴、事例などを記事にしたいなと思います。お読みいただきありがとうございました。